デパプリ、第6話以降放送延期

3月11日、東映アニメーションが『デリシャスパーティ♡プリキュア』ほか放送中のTVシリーズ4作品の放送延期を発表しました。

今週のデパプリは、2年ぶりの「おさらいセレクション」です。

3月7日に発表されていた同社に対する不正アクセスが、重大な影響を及ぼしました。

当社ネットワークへの不正アクセスによるシステム障害発生に伴う、テレビアニメ作品への影響についてのお知らせ | プレスリリース | 東映アニメーション株式会社

今回の延期について、詳しく分析してみましょう。

どうして放送延期なのか

2020年にも『ヒーリングっど♥プリキュア』第13話以降がコロナ禍の影響で延期となっていましたが、この時は主としてアフレコ等の「大人数が集まる」作業が感染症対策で一時中断となったことが原因でした。その後は人数制限で複数回に分けて録音する方法が取られ、また大泉スタジオも少しずつテレワーク化が進み、コロナ禍でのアニメーション製作スタイルが確立していきました。

一方で今回の延期は、不正アクセスを受けて東映アニメーションが「社内システムの一部を停止」したことで「作品制作が一部困難な状態」となったことによるものです。

東映アニメーション内部で起きている事象については発表されている以上のことはわかりませんが、仮に社内ネットワークがインターネットから切り離されていたり機能を停止していたりすれば、そこで行われていた製作工程管理、打ち合わせ、製作素材管理・交換などが不可能となります。続行可能な作業はスタジオに出向いてオフラインや紙ベースで可能なものくらいでしょう。その場合、作品製作が蒙る影響は1回目の緊急事態宣言時の比ではありません。

前回と異なり、3月6日のインシデント発覚から3月11日の延期発表、そして3月13日の放送延期まで期間が僅かであったことからも、作品製作におけるかなり後の方の工程まで影響を受けていることが窺えます。

放送延期はいつまで続くのか

一般に企業が不正アクセスなどのインシデントを検知した場合、社内のセキュリティ対策委員会に報告、そこで外部へ委託するなどして被害状況と原因の調査、そして対策と復旧方法の立案へと進んでいきます。

ここで原因や被害状況が特定できなかったり被害が広範囲に及んだりした場合は対策や復旧作業も大規模なものとなり、復旧までの時間もそれだけ嵩むことになります。

おそらく現時点ではまだ、復旧時期の見込みが立てられるような段階ではないないのでしょう。そのため今回のような期限を定めない放送延期の決断に至ったものと考えられます。

これから何が起こるのか

『デリシャスパーティ♡プリキュア』の放送は始まったばかりですが、製作スケジュールとしては3月11日時点で絵コンテが第14~18話あたりまで、またシナリオが第27~31話あたりまで完成していると考えられます。

すなわち、前半はエピソード単位で飛ばすことはできません。必然的に、放送が延期した週の分だけ後期のエピソードが削られることになります。

『ヒーリングっど♥プリキュア』では映画と連動してTVシリーズにプリキュア5が客演するエピソードが予定されていたことが、『映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo! 大変身!!』の中村亮太監督インタビューで明かされています。

当初、TVシリーズの映画連動回にのぞみたちが登場してのどかたちと知り合い、東京に招待して映画に繋がる話になる予定でした。しかし、コロナ禍による公開延期やTVシリーズの放送話数が減ってしまった影響で、のぞみたちがTVに登場することが難しくなり、映画で知り合う方向に急遽シフトせざるを得なくなったのです。

―学研, ヒーリングっど♥プリキュア オフィシャルコンプリートブック, p.89, 2021

どうしてもシリーズ構成から一番落としやすいのは、こういった他のエピソードとの関連性が薄まる特別回です。

3月19日の「ミラクル変身!おしゃべりメンメン」発売とキュアヤムヤム登場も、おそらくずれることになるでしょう。また今年も追加戦士がいると仮定するならば「東京おもちゃショー2022」にあわせて6月19日放送の第20話あたりで登場する予定だったと思われますが、こちらも展開スケジュールの変更を余儀なくされるでしょう。

また『デリシャスパーティ♡プリキュア』は全50話シリーズの可能性もありましたが、現時点でこの可能性もなくなりました。放送休止期間が1ヶ月をこえて長引くことはないと見込んでいますが、仮にそのような事態になった場合は次のプリキュア第20シリーズが『トロピカル〜ジュ!プリキュア』同様に2月初週から少し遅れて始まることもありうるでしょう。

情報セキュリティは万全すぎるくらい万全に

コロナ禍による生活様式の変化は、テレワークへの移行や様々な職務内容のデジタル化を加速させました。それはすなわち、通信インフラなどの情報基盤への依存度が高まることを意味します。そのような社会にあって、情報セキュリティは従来以上に重要なものとなってきました。

業界最大手の老舗である東映アニメーションにとって、「放送中のTVシリーズ4本を全部落とす」という決断は断腸の思いであったでしょう。1972年の同社労働争議による5ヶ月間に及ぶ大泉スタジオのロックアウト(臨時休業)でも、『魔法使いチャッピー』や『デビルマン』の放送が止まることは1週としてありませんでした。災害や疫病など不可抗力ではない社内事情による放送休止は、他に記憶がありません。

東映アニメーションのような世界的に知名度の高い企業のみならず、わたしたち個人もいつ標的となるかわかりません。今回の件を契機に、スマホや自宅・職場のPCなど、身の回りの情報セキュリティを再度見直してください。

(3/13追記)

3/20、3/27、4/3の3週間にわたって、2018年秋映画『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』を放送することになりました。

デリシャスパーティ♡プリキュア|ニュース|「デリシャスパーティ♡プリキュア」第6話以降の放送延期について

なおプリキュアのレギュラー放送枠で映画を放送するのは、2013年8月25日の7:30~9:00で『映画プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』を放送して以来のことです。

(4/6追記)

4/6正午、4/17から5週遅れで新作エピソードの放送が再開される旨発表されました。

作成者: 祥太

広島出身、中野在住エンジニア。 同人サークル「SHOWTIME」でプリキュアの音楽やフォントを研究したり二次創作したり。イベント出演、DJもやります。 プリキュア関係でのお仕事はCDBOX選曲協力、原画集編集作業補佐など。古典ギリシア語、ラテン語ほか勉強中です。