2022年11月30日午前6:00、2023年度放送のプリキュアシリーズ第20作『ひろがるスカイ!プリキュア』が発表されました。
『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019)以降の伝統に則り、今回も公式からハッシュタグで略称『ひろプリ』が提示されています。公式から明確に示されるおかげで近年はファンの間で略称が割れることもなく、トレンドに上がりやすくなっています。
取り急ぎ、現在判明している情報だけを頼りに様々な観点から分析してみます。
2月5日放送開始の全50話か?
『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)は例年通りであれば2023年2月5日放送開始で、放送期間は2024年1月28日までとみられます。
「2月初週放送開始」という展開スケジュールの制約は非常に厳しく、コロナ禍における製作中断で9週にわたる放送延期を余儀なくされた『ヒーリングっど♥プリキュア』(2020)は、後続の『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021)と合わせて3話ずつ合計6話を削られ、『デリシャスパーティ♡プリキュア』(2022)では2月初週放送開始に戻されています。その『デパプリ』も東映アニメーションへの不正アクセス事件で5週にわたる放送延期に見舞われましたが、やはり延期などはないようです。
『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)は全日本大学駅伝で2023年11月5日に、そして年末特番で2023年12月31日に休止するとみられます。かつては6月に全米オープンゴルフの中継がありましたが、テレビ朝日は2020年を限りに放映権を手放しています。したがって何事もなかった場合は、『魔法つかいプリキュア!』(2016)以来の全50話シリーズになるでしょう。
直近3作品はコロナ禍や不正アクセスの影響でいずれも話数が削られてしまっていましたが、果たして4年ぶりの1年間フル放送となるでしょうか。
余談ですが、2026年度放送の第23シリーズ、すなわち『ひろプリ』の3つ後のシリーズは2026年2月1日から2027年1月31日までの放送となり、プリキュア史上初の全51話が予想されます。全51話だった場合、ニチアサ全体を通しても『おジャ魔女どれみドッカ~ン!』(2002)以来となります。
なお、各シリーズの放送期間が1年間を超えていた頃は70話80話級の作品もありました。ニチアサでの歴代最長は『まじかる☆タルるートくん』(1990)の全87話です。
ロゴデザインから読み取れる情報
ロゴデザインは、『ヒーリングっど♥プリキュア』(2020)以来の「細身くるくる」系となりました。この系統は他に2007年『Yes! プリキュア5』(2007)/『Yes! プリキュア5GoGo!』(2008)が挙げられます。
そして、その『プリキュア5』以来にロゴに欧文併記がありません。これは『フレッシュプリキュア!』(2009)以来の「ロゴ下部にタイトル全体の欧文表記を併記する」という伝統を破った形です。さらに「ロゴ中に英数字が含まれない」という意味では、プリキュア史上初と言えるでしょう。
羽根ペンモチーフは『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019)以来となりますが、今回は「スカイ」ということもありペンよりも翼の方が要素としては強そうです。
そしてプリキュアロゴといえば何といっても、毎度おなじみの濁点半濁点と約物のデザイン処理でしょう。今回「ひろがるスカイ」部分は字体デザインのみですが、感嘆符「!」の点は羽根つきハートでデザインされています。
またプリキュアの「プ」の半濁点も羽根つきの宝玉様の意匠でデザインされています。
特筆すべきはプリキュアの「キ」のデザインでしょう。左右対称で、ほとんど二重短剣符「‡」にも見えるデザインになっています。「キ」が左右対称の形状となるのは『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017)以来です。
そして気になるのは「プリキュア」上部の虹模様、そして下部の虹色グラデーション線です。虹模様は内側からイエロー、ピンク、パープル、そして背景色を挟んでシアンとなっています。これは同様に虹をモチーフとした『スマイルプリキュア!』(2012)や『魔法つかいプリキュア!』(2016)のように実際の虹と同じく波長の長い方から色が並ぶ(赤橙黄緑青藍紫)デザインとは異なります。
『フレッシュプリキュア!』(2009)や『ハートキャッチプリキュア!』(2010)同様、この色構成が各プリキュアのシンボルカラーに対応していることは疑いようはないでしょう。その場合、シアンとパープルの間の空白が気になります。デザイン上これは白い帯があるのではなく、単純に背景色とみられます。最初にピンクとパープルとイエローの3人がいて、後期に追加戦士としてシアンが加入するのでしょうか。
あるいはシアンまでの4人が初期プリキュアで、下部の虹色グラデーションは後期の追加プリキュアを表していて、その子が『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021)キュアサマーのようにシンボルカラー「レインボー」のプリキュアなのでしょうか。
なお現状公式サイトで公開されているロゴは全体にかなり強めの白いグローがかかっていて、現段階ではどこまでが本来のロゴデザインか判然としません。
https://www.toei-anim.co.jp/tv/hirogaru-sky_precure/assets/images/t_ttl_logo.png
プリキュアは総勢76.38人に?
幅はありますが、『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)が始まった時点で歴代プリキュア(TVレギュラーのみ)の人数が75~78人に、そして最終的には76~79人程度になるものと見込まれます。
プリキュアの製作態勢が現在の形になった『Go! プリンセスプリキュア』(2015)から現行作『デリシャスパーティ♡プリキュア』(2022)までの実績から平均値を算出すると、
- 初期メンバー…3.38人
- 追加メンバー…1.13人
- 最終メンバー…4.50人
となります。『デパプリ』追加プリキュアであるキュアフィナーレまでの73人と単純に足すと、春までには76.38人程度に、そして来年の今頃には77.50人程度になったプリキュアオールスターズが見られそうです。
仮に77人と仮定すると、真ん中は39番目・『Go! プリンセスプリキュア』(2015)のキュアマーメイドになります。はるはるが、キュアフローラが真ん中よりも先輩側になると思うと、時の流れを噛みしめます。
スタッフは誰?
例によって今回の発表はタイトルとロゴのみで、メインスタッフなどは年末までおあずけになります。できる範囲で予想してみましょう。
メインスタッフのうち、シリーズ構成やキャラクターデザインに関しては社外から予想外の人選が行われるケースが多く、発表までは正直何も読めません。
一方シリーズディレクター(他社における「監督」に限りなく近いですが、東映動画は伝統的に各話の「演出」の裁量が大きいため、このような役職をとっています。)は社内の演出家が登用されるケースがほとんどで、比較的予想がしやすくなっています。
予想の手法はシンプルで、まずプリキュアの絵コンテ・演出ローテから夏頃に抜けた監督さんを探し、次にその監督さんが『ONE PIECE』『デジモン』ほか社内他作品のいずれにも参加していないことを確認します。そうして絞り込まれた方の中に、一定の確率で次回作のシリーズディレクターがいるわけです。
この手法は、『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021)のシリーズディレクターを土田監督であると的中させた実績があります。
さて、今回それに該当するのは貝澤幸男監督、そして小川孝治監督の2名です。お二方とも過去にプリキュアのTVシリーズや劇場版を手がけられており、有力な候補と言えるでしょう。
貝澤監督が『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017)で暮田公平監督と連名で担当された後はシリーズディレクターを担当されていない一方で、小川孝治監督は『ゲゲゲの鬼太郎』第6期(2018~2020)でシリーズディレクターを務めておられます。したがってお二方のいずれかとなれば、小川監督の方が可能性が高いと思われます。私はお二方とも両方のシリーズを見たいですが。
小川孝治監督は『ハートキャッチプリキュア!』(2010)以降プリキュアに絵コンテ・演出という形で参加され、『映画プリキュアオールスターズNewStage』3部作では『2』『3』の2作品で監督も務めておられます。プリキュアをこよなく愛する小川監督がプリキュアのTVシリーズでシリーズディレクターを担当するのは、個人的にもぜひ実現してほしいところです。
(2023/1/8追記)
実際、シリーズディレクターは小川孝治監督でした。
語句解析
「ひろがる」は五段活用の他動詞「ひろげる」に対する自動詞です。中世ごろから「ひろごる」に代わって用いられはじめたとされます。
柳など、をかしきこそさらなれ。それも、まだ繭にこもりたるはをかし。ひろごりたるは、うたてぞ見ゆる。
―清少納言『枕草子』4段
漢字では「広がる」、「拡がる」、あるいは「展がる」とも書けます。意味的には英語でいう stretch ないし spread でしょうか。
「スカイ」は、英語の sky でしょう。これで違ったら逆に笑いますよ。現代は「空」という意味ですが、13世紀から16世紀にかけては「雲」という意味でも使われていました。由来はラテン語やギリシャ語ではなくゲルマン祖語から伝わる純粋な英語で、語源はインド・ヨーロッパ祖語で「覆う」「隠す」を意味していたとされる語に求められます。
文字コード
『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)は、『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019)以来4年ぶりに「JIS X 0208だけで表記できるプリキュア」、すなわち「Windows XP/MacOS10.4以前の環境で何ら問題なく表記できるプリキュア」となりました。「♥」や「〜」、「♡」などと違って通常の環境で文字化けの余地はありえず、近年のシリーズで悩まされてきた煩雑な文字コード問題からは、とりあえず久々に解放されそうです。
僅か6時間差で公開商標公報から逃げ切れず
タイトル解禁日が公開商標公報より先行するよう出願時期を調整したのか、今回の発表はSNSで明確に解禁時刻が追跡できるここ10年の中で一番遅いものとなりました。そのため、やきもきしたファンの間では
- プリキュアシリーズ終了説
- デパプリ2期目突入説
- 商標登録が必要ない=過去作リメイク説
など様々な予想が飛び交いました。
そんなかつてないファンの狼狽がピークに達したタイトル発表6時間前の2022年11月30日0:00、特許庁からあっさりと公開商標公報が出されました。「出願から9日での公開」は通例より若干速すぎるとはいえ、公式がギリギリでタイミングの調整をミスった感は否めません。
とはいえ今回このような前例ができたことで、さすがに来年以降は同じような展開を見せたとしてもファンはある程度の落ち着きを取り戻すものと思われます。
なおprecure.newsにおける公開商標公報への考え方については、こちらの記事をご参照ください。
「シリーズ第20作」
『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)で、とうとうプリキュアも第20作。すわなち、来年は記念すべきプリキュア20周年のアニバーサリーイヤーです。
今回のタイトル発表とは別に、近日中、早ければ明日12月1日の午前中にもプリキュア20周年施策に関する発表も行われると予想されます。
あらためて歴代TVシリーズのタイトルを振り返ってみます。
- 2004『ふたりはプリキュア』
- 2005『ふたりはプリキュアMaxHeart』
- 2006『ふたりはプリキュアSplash☆Star』
- 2007『Yes! プリキュア5』
- 2008『Yes! プリキュア5GoGo!』
- 2009『フレッシュプリキュア!』
- 2010『ハートキャッチプリキュア!』
- 2011『スイートプリキュア♪』
- 2012『スマイルプリキュア!』
- 2013『ドキドキ!プリキュア』
- 2014『ハピネスチャージプリキュア!』
- 2015『Go! プリンセスプリキュア』
- 2016『魔法つかいプリキュア!』
- 2017『キラキラ☆プリキュアアラモード』
- 2018『HUGっと!プリキュア』
- 2019『スター☆トゥインクルプリキュア』
- 2020『ヒーリングっど♥プリキュア』
- 2021『トロピカル〜ジュ!プリキュア』
- 2022『デリシャスパーティ♡プリキュア』
- 2023『ひろがるスカイ!プリキュア』
ついに10周年の『ハピネスチャージプリキュア!』(2014)が、真ん中になってしまいました。様々な要素が大きく変わった『フレッシュプリキュア!』(2009)以降は何となく「最近のプリキュア」というイメージを抱いていましたが、もはや『フレッシュ』すらもシリーズ全体で見れば「初期」作品になってしまいました。
ニチアサの半分がプリキュアに
『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)が全50話シリーズの場合、最終回まで放送された時点でプリキュアの通算放送回数は982回、通算話数は968話、そして『とんがり帽子のメモル』(1984)が日曜朝8:30枠に移動してからのニチアサABC東映アニメの総放送回数は1960回となります。プリキュア1000回およびニチアサ2000回というマイルストーンも、もはや目前です。
また『ひろプリ』第46話の時点で、ニチアサ40年の歴史のうちの半分がプリキュアになります。対象年齢など様々な変遷を経た後に『夢のクレヨン王国』(1997)、『おジャ魔女どれみ』(1999)、『明日のナージャ』(2003)と女児向け枠として定着したこの放送枠で、2004年にプリキュアは始まりました。そして東映動画の女児向け作品としてかつてない安定を見せ、現在に至ります。
今後の流れ
例年のシリーズ発表スケジュールをおさらいしておきましょう。
タイトル発表
- スマ…2011/11/28(月) 12:00
- ドキ…2012/11/28(水) 昼
- ハピ…2013/11/28(木) 早朝
- ゴプ…2014/11/28(金) 早朝
- まほ…2015/11/27(金) 6:00
- アラ…2016/11/28(月) 6:00
- はぐ…2017/11/29(水) 7:00
- スタ…2018/11/29(木) 6:00 (幼児誌発売日)
- ヒー…2019/11/29(金) 6:00 (幼児誌発売日)
- トロ…2020/11/27(金) 6:00 (幼児誌発売日)
- デパ…2021/11/26(金) 6:00 (幼児誌発売前日)
- ひろ…2022/11/30(水) 6:00
幼児誌が半ば季刊化していることもあり今年のタイトル発表日は読めませんでしたが、結果としてはギリギリこれまでのスケジュールを踏襲する形となりました。
ビジュアル発表
- スマ…2011/12/26(月) 12:00
- ドキ…2012/12/26(水) 朝
- ハピ…2013/12/26(木) 朝
- ゴプ…2014/12/26(金) 朝
- まほ…2015/12/26(土) 6:00
- アラ…2016/12/26(月) 6:00
- はぐ…2017/12/27(水) 6:00
- スタ…2018/12/27(木) 5:00 (幼児誌発売日)
- ヒー…2019/12/26(木) 6:00 (幼児誌発売日)
- トロ…2020/12/26(土) 6:00 (幼児誌発売日)
- デパ…2022/01/09(日) 6:00
- ひろ…2022/12/26(月) 6:00 (幼児誌発売日)…?
『スタプリ』『ヒープリ』の傾向からビジュアル発表は幼児誌の2023年2月号発売日である12/26(月) 6:00と予想されますが、『デパプリ』のように年を越す可能性もあります。
キャスト・スタッフ発表
- スマ…2012/01/06(金) 12:00
- ドキ…2013/01/07(月) 11:00
- ハピ…2014/01/04(土) 6:00
- ゴプ…2014/12/27(土) 6:00
- まほ…2016/01/05(火) 6:00
- アラ…2017/01/06(金) 6:00
- はぐ…2018/01/06(土) 6:00
- スタ…2018/12/27(木) 5:00 (ビジュアル同時)
- ヒー…2019/12/26(木) 6:00 (ビジュアル同時)
- トロ…2021/01/29(金) 6:00
- デパ…2022/01/09(日) 6:00 (ビジュアル同時)
- ひろ…2022/12/26(月) 6:00 (ビジュアル同時)…?
こちらも『スタプリ』『ヒープリ』の傾向からビジュアルと同時の12/26(月) 6:00と予想されますが、『デパプリ』のように年を越す可能性もありえます。
物語が加速していくデパプリ
こうして先輩になってしまう『デパプリ』ですが、最終クールに突入し、物語の核心が次々と明かされ始めています。
今後の展開から目が離せません。
思えば第5話という放送開始直後に東映アニメーションへの不正アクセスにより5週間の放送延期を余儀なくされた本作でしたが、その後は順調に回を重ね、秋映画にライブとイベントも無事開催。「デパプリ感謝祭」も間もなく詳細が発表されるでしょう。
作品の視聴そのものは、Blu-rayや配信などで後からいくらでも追いかけられます。しかし、近所のコンビニやスーパーに『デパプリ』商品がたくさん置いてあったり、あちこちで関連イベントやキャンペーンが開催されているのは、今だけです。悔いの残らないように、残された2ヶ月、めいっぱい楽しんでおきましょう。
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さて私事ですが、今年も12月25日(日)阿佐ヶ谷ロフトAにて、プリキュアおじさん氏主催のクリスマスイベント「プリキュアおじさんpresents キラキラおしゃれクリスマス会」に出演させていただきます。
出演はプリキュア楽曲を中心にDJとして活躍するプリキュアおじさん、 “変身職人”として名を馳せるアニメーター・ 板岡錦さん、祥太、ほか。
プリキュア好きの仲間達が集まる稀有な機会です。きっと新たな発見もあることでしょう。ぜひ、お出かけくださいませ。