本日6/3(日)、『HUGっと!プリキュア』第18話「でこぼこコンビ! 心のメロディ!」が放送されました。
今回の放送では本編Bパートの最後に挿入歌を流してそこにEDテロップを流すという、TVシリーズとしてはプリキュア15年の歴史でも初めてとなる試みがありました。
パップルから「心のない機械人形」と言い放たれるルールー。えみるはそれに毅然と対峙し、「ルールーには心があるのです! 心があるから、悩んでいるのです!」と高らかに親友宣言。そして手を繋ぐ二人。ルールーは、はっきりと自分の心を理解した。
戦いが終わり、自作曲をルールーと一緒に歌いたいというえみる。ルールーは彼女の歌を聴いて自然と涙をこぼす。そして二人は一緒に歌を歌うのだった…。
- 「キミとともだち」
- 作詞: 坪田 文
作曲: 藤本記子(Nostalgic Orchestra)
編曲: 福富雅之(Nostalgic Orchestra)
歌唱: 愛崎えみる(CV.田村奈央)、ルールー・アムール(CV.田村ゆかり)
作詞は本作のシリーズ構成と各話脚本を務める坪田文さん。そして作編曲は、ノスオケのお二人。
おそらくボーカルアルバム1に収録される楽曲と予想されますが、今回の本編ではルールーが泣きながらの歌い出しという演出だったこともあり、本編ver.とアルバムver.では音源が異なるものと考えられます。
本来のBパート終了時刻である8:55:20が近づいてもBパートが終わる気配がなく歌が続いた時は何が起きているのかと思いましたが、8:55:27でスタッフクレジットが流れ始めたときに全てを理解し、「やられた」と思いました。
Bパートの途中で流れるような特殊EDは『スマイルプリキュア!』『Go! プリンセスプリキュア』のそれぞれ最終話などでもありましたが、今回はEDとして完全に区切られた時間ではなく、「本編中に歌が流れスタッフクレジットが載る」だけの状態となりました。クレジット上も「エンディングテーマ」ではなく「挿入歌」であり、しかも劇中で登場人物が歌っています。また歌詞テロップも出ず、途中にさあやとはぐたんのセリフも挟まっています。
本編と独立した「EDという時間」ではなく、ここでは「本編Bパートの芝居」がずっと続いている。すなわち「ここからテロップを消した場合に、これを(ノンクレジットの)EDとして認識できる要素が何もない」のです。この点において、今回の特殊EDは史上初のケースといえます。
こうしてEDと完全に融合したBパートは8:56:50に終了。本来のED尺90秒分だけ後にズレた「ED前CM」が60秒流れ、予告以降は通常の放送フォーマットに戻りました。
歴代の特殊ED
今回以前にも、特殊EDと呼べるものは何度かありました。歴代シリーズの特殊EDを振り返ります。
※6/4追記…2008~2010年に実施されたプレゼントキャンペーンの告知を追加しました。
- 『ふたりはプリキュアSplash☆Star』#44
- 『クレヨンしんちゃん』とのコラボ企画で、ブルーム・イーグレット・しんちゃんの着ぐるみがダンスを踊る映像を放送
- 『ふたりはプリキュアSplash☆Star』#49[終]
- 1年間の振り返りダイジェスト映像で構成。ラストには咲と舞のメッセージ。
- 『Yes! プリキュア5GoGo!』#10
- 『Yes! プリキュア5GoGo!』#35
- 『フレッシュプリキュア!』#11
- 『フレッシュプリキュア!』#35
- 『フレッシュプリキュア!』#46
- 『ハートキャッチプリキュア!』#10
- 『ハートキャッチプリキュア!』#34
- 楽曲と映像に基本的な変更はないものの、途中にプレゼントキャンペーンの告知が挿入された。そのため、スタッフクレジットのテロップは通常と異なるタイミングで速めに表示されている。
- 『スイートプリキュア♪』#48[終]
- ED自体は通常と同じだが、本編Bパートとは映像上も音響上も途切れなく繋げられている。
- 『スマイルプリキュア!』#48[終] ※史上初のフォーマット順序変更を伴う特殊ED
- 本編Bパートの終盤途中にEDが挟まる構成。映像『S☆S』同様のダイジェストとキュアハッピーのダンスで、EDに先行してイントロが入り、曲も特別編集でED後も本編中で流れ続けるなどシームレスに繋がっている。
- 『Go! プリンセスプリキュア』#39~42
- 11月放送分のみ、当時公開中の映画『プリキュアとレフィのワンダーナイト』に合わせた特殊映像が使用された。(もともと後期EDは同作とセットで製作)
- 『魔法つかいプリキュア!』#38、39 ※史上初の楽曲変更を伴う特殊ED
- 映画プロモーションの一環で『キュアミラクルとモフルンの魔法レッスン!』のED映像を使用。楽曲も渡辺麻友が歌う「正しい魔法の使い方」が使用されている。
- 『キラキラ☆プリキュアアラモード』#6、7
- 楽曲と映像に基本的な変更はないものの、AメロBメロ部分に『映画プリキュアドリームスターズ!』のダイジェスト映像を使用。
- 『キラキラ☆プリキュアアラモード』#37、38 ※EDダンス開始後初の非ダンス映像ED
- 映画プロモーションの一環で『映画キラキラ☆プリキュアアラモード』のダイジェスト映像を使用。楽曲も「トレビアンサンブル!!」が使用された。このために、映画EDサイズ音源とは別に「TVサイズ音源」が作られサウンドトラック2にも収録された。
- 『HUGっと!プリキュア』#18 ※史上初の本編と完全に融合した(映像上も音響上も区切りが不可能な)ED
- えみるとルールーの歌う挿入歌「キミとともだち」を事実上のEDとして使用。クレジットテロップは出ているが歌詞テロップはなく、完全に「本編中にクレジットが流れるのみ」の状態となった。
『ふたりはプリキュア』の当初から、プリキュアとは常に「お約束」を疑う、「お約束」に抗うアニメであり続けていると言えます。それは放送フォーマットについても例外ではありません。キュアサンシャインのお披露目を盛り上げるためだけにED前CMを次回予告の後に入れ換えたこともありますし、近年では様々なコーナーの枠を捻出するために提供を省略したりと、関係各社と綿密な調整を重ねながら様々な演出を見せてくれました。
その15年間の歴史の積み重ねの続きとして、今回の「第18話特殊エンディング」は生まれたと言えるでしょう。