プリキュアの全話数はどうやって決まるのか
49・47・49・49・48・50・49・48・48・49・49・50・50・49・49・49・45・46・45・50・50…
この数字の羅列は何でしょうか。precure.newsの読者ならばすぐにピンと来ますよね。そうです。2004年度の『ふたりはプリキュア』から2024年度の『わんだふるぷりきゅあ!』までの21年間、毎年毎年ひとつひとつ大切に作られて放送を重ねてきたプリキュア歴代TVシリーズの全話数です。
こうして見ると、だいたい49なんだけどたまに50や48があったりして、一時期には45や46なんてのもありますね。こうなったのは、それはもう語り尽くせないくらい色々なことがあったんですよ。
さて、「キミプリ全51話説」でにわかにプリキュアTVシリーズの全話数が注目を集めています。
というわけで今回は、「プリキュアTVシリーズの全話数はどのようにして決まるのか」を詳しく解説します。
どのようにして決まるのか
実は、シリーズが始まった時点で必ずしも全話数が決まっているわけではありません。ABCテレビとテレビ朝日の編成都合にも左右されますし、特に夏期オリンピックが開催される年はシリーズ構成の段階で調整が可能なように工夫されています。
香村 ただ、制作が始まったころから、オリンピック中継で何回か放送が休止になる可能性があるということはわかっていたんですね。それが何週にわたるかは決まっていませんでしたが、夏に放送できなかったものは秋の終わりくらいに放送するかも、という状態で進めていたので、
(中略)
安見 オリンピックの休止想定は最大5週間ほどでした。ただ、本当にそのすべてが休止になるかもわからなかったので、そのあたりでは放送順を入れ替えてもおかしくならないように、物語の根幹に大きく関わらないエピソードを考えていたんです。
香村 話数の入れ替えが多数発生しても違和感が少ないように、なるべく1年を通して日常の積み重ねを大切につくっていきましょうということでした。
ヒーリングっど♥プリキュア オフィシャルコンプリートブック(イード, 学研プラス) p.76
TVシリーズの全話数というのは製作と並行して決まっていくようです。
それでもプリキュアは20年以上の歴史がありますので、過去の傾向からある程度は予測することが可能です。
基本的な原則
“プリキュア年度”は、毎年2月はじめから翌年1月末までのサイクルです。これは多くの場合52回分の日曜日を含んでいます。ただし、下記の条件を満たすプリキュア年度では日曜日が53回分となります。
- 2月1日が日曜日であるプリキュア年度
- 2004、2009、2015、2026、2032、2037、2043、2054、2060、2065、2071、2082、2088、2093、2099
- 2月2日が日曜日で、かつ開始年が閏年であるプリキュア年度
- 2020、2048、2076
理屈としては単純で、1年間のカレンダーが平年では「52週間+1日」、閏年では「52週間+2日」となる中でその“余り”が日曜日になっているか、いないかの違いです。
プリキュアを長年見てこられた方なら、この中に「2009」や「2015」といった50話シリーズが並んでいることに気付かれたと思います。
一方でここにある「2004」や「2020」などは50話シリーズではありませんし、逆に50話シリーズだったはずの「2016」「2023」「2024」は含まれていません。
つまり「日曜日が53回ある」というのはあくまで「50話以上になる可能性がある」ということにすぎず、実際の話数は“どの日曜日が潰れたか”、あるいは“潰れなかったのか”によって決まります。
この理由を詳しく探っていきましょう。
プリキュアの全話数に影響する要素
プリキュアの全話数に影響する要素は、だいたい次のとおりです。
- 年末年始特番
- 全日本大学駅伝
- 全米オープンゴルフ
- 夏期五輪
- その他のスポーツ中継、特番
- 予期しない災害や事故
年末年始特番(プリキュア以降、絶対不可避)
年末年始特番はプリキュアが始まった2004年度以降必ず挿入されているため、まず回避は不可能として考えます。
ちなみに『とんがり帽子のメモル』枠移動でABC・東映動画のニチアサ8:30アニメが始まった1984年10月以降、プリキュアが始まるまでの20年間で挿入された年末年始の特番は、わずかに「1988年始」「1989年始(1988年末に振替放送)」「1993年始」「1994年始」「1995年始」「1995年末」の6例だけでした。
そうです。『おジャ魔女どれみ』シリーズから『明日のナージャ』までは、すべて年末年始も休まず放送されていたのです。今では考えられませんね。
全日本大学駅伝(1988年の第20回で中継開始以降、絶対不可避)
同様に全日本大学駅伝も、テレビ朝日で中継が始まった1988年以来約40年間にわたって回避された例は皆無です。
なお1987年以前は年末年始特番もなかったため、ニチアサ枠を遮るものが何一つありませんでした。
はい、そうです。1984年10月7日放送の『とんがり帽子のメモル』第29話から1987年12月27日放送の『新メイプルタウン物語とビックリマン』第12回(『新メイプルタウン物語 パームタウン編』第50話+『ビックリマン』第12話)までの169週間13クール3年3か月、一切の休止を挟むことなくノンストップで放送が続いていたのです。ますます、今では考えられません。
全米オープンゴルフ(回避しても他が来る率高し)
2019年以前は、全米オープンゴルフの中継もありました。
これは回避できたりできなかったりで、ある意味、運次第でした。後述する他のスポーツ中継や特番とセットで考慮されていたような形跡も窺えます。
ざっくり言えば日本より13時間遅い東部夏時間の地域で開催されるとプリキュアが始まる前にさっさと中継が終わってくれる可能性があり、逆に日本より16時間遅い太平洋夏時間の地域で開催されるとプリキュアが終わってから中継が始まる可能性があります。
とはいえ、必ずしもそうはなりません。全米をターゲットとした中継ですし現地は土曜日なので、ふつうに現地の夜8時までやってニチアサにカブることもままありました。

時には、事情によって良いところで中継が打ち切られることもあります。2013年の第113回全米オープンなどはテレビ朝日・森下桂吉アナウンサーの名残惜しそうな挨拶に続いて、キュアハートの「ドキドキ!プリキュア、このあとすぐ!!」という元気な声が茶の間に響き渡りました。
なお2020年以降はテレビ朝日が中継から撤退したため、今後は予想の対象から外します。
夏期五輪(開催地の標準時次第で回避可能)
冒頭で言及したように、夏期オリンピックも悩ましいところです。ブラジルやフランスなど日本と経度が全く異なる地域で開催されれば潰れない可能性が高いのですが、とはいえ真夜中だったはずのアテネ五輪やロンドン五輪でもハイライト特番などを組んでプリキュアを潰す始末です。開催地域による予想は、思いの外精度が良くありません。
なお2028年のロサンゼルス五輪は太平洋夏時間で現地は夕方、2032年のブリスベン五輪はオーストラリア東部標準時で現地は朝と、潰れそうな匂いがプンプンしています。特に2032年度の第29シリーズは2026年度以来となる日曜日が53回ある年度で、せっかくの全51話チャンスが潰える可能性が高そうです。ここを逃すと、次は2037年度の第34シリーズを待たねばなりません。
その他のスポーツ中継、特番(予測困難)
2005年度の『ふたりはプリキュアMaxHeart』などは、世界水泳の中継で2週連続で放送が休止するという悪夢のような出来事もありました。こちらもテレビ朝日が2025年を最後に撤退の見込みということで、今後は予測の対象から外せそうです。
とはいえ、2010年度のFIFAワールドカップ、2018年度の高校野球開会式、2025年度の万博記念駅伝などスポーツ中継は予測が非常に困難です。
さらには2013年度の「スーパーヒーロー&ヒロイン夏休みSP」(『映画NewStage(1)』のTVバージョンが地上波で放送されました。)や2014年度の「テレ朝人気番組集結1日丸ごと夏祭りSP」など、突発的な特番による休止例もありました。
しかし、実はこのあたりの突発イベントは全米オープンゴルフ中継がバッファとなって調整されていたようにも見えます。

とはいえ、今後は全米オープンゴルフ中継もありません。突発的な放送休止による話数の予測はますます困難になりました。
予期しない災害や事故
さらに、自然災害や疫病、そして事件や事故など、予期しない不可抗力による放送休止もありました。
『スイートプリキュア♪』第6話が放送されるはずだった2011年3月13日は、前々日に発生した東日本大震災とそれにともなう福島第一原子力発電所の事故のためANN報道特番が2日半にわたって組まれたため休止。
『ヒーリングっど♥プリキュア』はアフレコ中止によって「おさらいセレクション」として1話から8話および12話を9週にわたって代替放送。
『デリシャスパーティ♡プリキュア』はランサムウェア被害による東映アニメーション社内および外部とのネットワーク停止の影響で「おさらいセレクション」と『映画オールスターズメモリーズ』を5週にわたって代替放送。
22年の歴史の中でも、ここに挙げたような計画外の事象が発生しています。
さらに時代を遡ると、「昭和64(1989)年1月8日」に放送予定であった『ビックリマン』第64話は、前日に崩御された昭和天皇を偲ぶ特番のため放送休止になっています。元号も同日から「平成」にかわり、「昭和64年」に放送されたニチアサアニメは1話たりとも存在しません。
今後のシリーズを占ってみた
とりあえず向こう50年ちょっと分、予想を立ててみました。

オリンピック次第では話数は1減りますし、今後も予期しないスポーツ中継やイベント、または予想外の事態も発生するかも知れません。
それでも、ほとんどの年度において、この数字を大きく下回ることはないと考えられます。
とりあえず今は、『名探偵プリキュア!』がプリキュア史上初の全51話シリーズになるよう祈りましょう。もちろん51話じゃなくてもきっと素敵なシリーズですし、あくまでもちょっとしたほんのオマケ程度に考えておくと良いと思います。それこそ今、現在進行形で噂になっている「キミプリが51話あったらいいな」くらいの。
