プリキュア第22作『キミとアイドルプリキュア♪』発表。2月2日放送開始の全50話?

2024年11月29日午前5:30、2025年度放送のプリキュアシリーズ第22作『キミとアイドルプリキュア♪』が発表されました。

キミとアイドルプリキュア♪ | 東映アニメーション

キミとアイドルプリキュア♪|朝日放送テレビ

『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)、『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)に続き、今回も商標公報の公開直後のタイトル発表となりました。

『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019)以降の伝統に則り、今回も公式からハッシュタグで略称『#キミプリ』が提示されています。

同じくハッシュタグで「♪」を除いた「#キミとアイドルプリキュア」も提示されています。

また同時に公開された公式サイトでは、背景画像から

  • 紫、ピンク、水色のスポットライト
  • 同じく紫の雫模様、ピンクのハート、水色のキラキラ

が読み取れます。3人チームを示唆しているのでしょうか。また後者は、タイトルロゴの中にもちりばめられています。

取り急ぎ、現在判明している情報だけを頼りに様々な観点から分析してみます。

2月2日放送開始の全50話?

『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)は例年通りであれば2025年2月2日放送開始で、放送期間は2026年1月25日までとみられます。

現在放送中の『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)は、このまま何事もなければプリキュア史上5番目の全50話シリーズとなる予定です。そして『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)の開始が例年通り2025年2月2日であれば、同作も全50話シリーズと考えられます。

『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)は第57回全日本大学駅伝で2025年11月2日に、そして年末特番で2025年12月28日に休止するとみられます。かつては6月に全米オープンゴルフの中継がありましたが、テレビ朝日は2020年を限りに放映権を手放しており、今後はゴルフによるプリキュア休止の可能性は低そうです。

また来年2025年は世界水泳がシンガポールで開催されますが、同国が採用しているシンガポール標準時(UTC+8)ではプリキュアが放送される日本時間8:30~9:00が「7:30~8:00」となっており、テレビ朝日による世界水泳中継の影響はなさそうです。『ふたりはプリキュアMaxHeart』が2週連続で休止した「モントリオールの悪夢」以来、幸い同大会の北南米開催は一度もありません。現時点での開催予定もありません。その上、テレビ朝日による同大会の中継は2027年以降未定となっており、一部メディアでは撤退の報道もありました。

余談ですが、2026年度放送の第23シリーズ、すなわち『キミプリ』の後続シリーズは2026年2月1日から2027年1月31日までの放送となる見込みで、プリキュア史上初の全51話が期待できます。仮に全51話となった場合、ニチアサ全体を通しても『おジャ魔女どれみドッカ~ン!』(2002)以来、実に24年ぶりとなります。

なお、各シリーズの放送期間が1年間を超えていた頃は70話80話級の作品もありました。ニチアサでの歴代最長は『まじかる☆タルるートくん』(1990)の全87話です。

ロゴデザインから読み取れる情報

今作のタイトルは、ド直球です。一目見て、何をテーマ・モチーフとするプリキュアなのか、誰が見てもわかります。

アイドル “Idol”とは、元を辿ればラテン語の“idolum”、さらに古典ギリシャ語の“εἴδωλον”に遡ります。いずれも、意味は「(イメージとしての)像」や、時に「幽霊」「幻影」など。そこからキリスト教の文脈の中で「偶像」という意味も帯びることになりました。

それを今日、いわゆる「アイドル」の意味で使用しているのは日本をはじめとしたアジア諸国が中心です。この点が海外展開時にニュアンスとしてどこまで伝わるか未知数な部分もありますが、とはいえ“The Idolmaster”や“Aikatsu! Idol Activity”など偉大な先駆者達もあることなので日本文化の素地としては既に十分浸透しているものと信じましょう。

ロゴのデザインで最初に目を引くのは、何と言っても大きく広がった背景のリボンでしょう。この意匠は『ハートキャッチプリキュア!』(2010)を思い起こさせます。リボンはチェック柄が特徴的で、レトロな温かみや学園ものの雰囲気を感じ取れます。

左上のハートも、『ドキドキ!プリキュア』(2013)や『HUGっと!プリキュア』(2018)に通じるところがあります。

さらに、フラットで丸みを帯びたデザインが特徴的だった『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)とは対照的に、ハイライトが強調され角張ったデザインは、『Yes!プリキュア5』(2007)や『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)を思わせます。さらに往年の『プリティーシリーズ』など、歴代の名作アイドルアニメへのリスペクトも感じられます。

そして、プリキュアのロゴといえば何と言っても「プ」の半濁点。今作でも「プ」の半濁点はアイテム状に描かれ、何らかの重要な意味が込められている可能性が高そうです。また、「ド」の濁点もハートになっていて、『ドキドキ!プリキュア』(2013)を思い出します。さらに今回は連鉤の8分音符として処理されており、『スイートプリキュア♪』(2011)以来14年ぶりに音符記号「♪」がタイトルに含まれことも相まって、音楽を重要な要素とする作品であろうことが窺えます。

なお、この連鉤8分音符モチーフはfavicon(ブックマーク時のアイコン)にも使用されています。

https://www.toei-anim.co.jp/tv/you-and-idol_precure/favicon.ico

『フレッシュプリキュア!』(2009)以来の「ロゴ下部にタイトル全体の欧文表記を併記する」という伝統は、『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)で一時姿を消しましたが、『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)に続き今作でも継続しています。表記は “You and Idol Precure♪” です。

そしてプリキュア好きとして何よりも気になるのが、「ア」に意味深に配置された黒と白のハート。黒と白のハートといえば、全ての祖、『ふたりはプリキュア』(2004)のキュアブラックとキュアホワイトのモチーフです。「ュ」直下には、同じくふたりのモチーフカラーであるピンクとブルーのキラキラも見えます。

タイトルの検索性と影響の予測

今回発表された『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)では、『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)以来のカタカナ「プリキュア」に戻りました。もう、「ふるぷりきゅあ」のような不思議なトレンドワードに惑わされることはなくなりそうです。

一方で、『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019)以来6年ぶりに、「カタカナの別単語と『プリキュア』とが連続し、間が記号やひらがな等で区切られていない」タイトル表記となりました。この意味では「プリキュア」自体で検索されないケースもありそうです。

まあ、「ふるぷりきゅあ」のままバズり続けて盛り上がりを失うこと無く一年間を突っ走ってる前作もあることなので、心配は要りませんね。

プリキュアは総勢86.50人に?

幅はありますが、『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)が始まった時点で歴代プリキュア(TVレギュラーのみ)の人数が84~87人に、そして最終的には85~88人程度になるものと見込まれます。

プリキュアの製作態勢が現在の形になった『Go! プリンセスプリキュア』(2015)から現行作『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)までの実績から平均値を算出すると、

  • 初期メンバー…3.50人
  • 追加メンバー…1.00人
  • 最終メンバー…4.50人

となります。『わんだふるぷりきゅあ!』までの82人と単純に足すと、前半で85.50人程度に、そして来年の今頃には86.50人程度になったプリキュアオールスターズが見られそうです。

なお初期メンバー、追加メンバーは変身後の姿で前期ビジュアルに登場しているか否かを基準としています。ゆえに『わんだふるぷりきゅあ!』の追加メンバーは「0」カウントです。

仮に86人と仮定すると、真ん中は43番目・『魔法つかいプリキュア!』(2016)のキュアマジカルと44番目・同キュアフェリーチェの間になります。奇しくも2025年は、年始から続編『魔法つかいプリキュア!!~MIRAI DAYS~』が放送されます。「ほんのついこないだ」だと思っていた『まほプリ』が懐かしむ対象になる時代が来るとは……。作中で描かれた再開の「5年後」も、時代的にはとっくに過去の話になりました。

25周年で100人に!?

さて、この調子でプリキュアが増えていくと、プリキュア25周年アニバーサリーイヤーの2028年に放送されるプリキュア第25シリーズで最後に登場するプリキュアをもって、プリキュアオールスターズはついに累計100名を達成する勢いです。

もしかしたら、意図的にここを狙って毎年の登場人数を調整している可能性も考えられそうです。記念すべき節目の年に100人の大台に乗るなんて、絶対にお祭りになるに決まっていますもの。

スタッフは誰?

例によって今回の発表はタイトルとロゴのみで、メインスタッフなどはおそらく年明けのお楽しみになります。できる範囲で予想してみましょう。

メインスタッフのうち、シリーズ構成やキャラクターデザインに関しては社外から予想外の人選が行われるケースが多く、発表までは正直何も読めません。

一方シリーズディレクター(他社における「監督」に限りなく近いですが、東映動画は伝統的に各話の「演出」の裁量が大きいため、このような役職をとっています。)は社内の演出家が登用されるケースがほとんどで、比較的予想がしやすくなっています。

予想の手法はシンプルで、まずプリキュアの絵コンテ・演出ローテから夏頃に抜けた監督さんを探し、次にその監督さんが『ONE PIECE』『ドラゴンボール』『逃走中』『おしりたんてい』ほか自社制作他作品のいずれにも参加していないことを確認します。そうして絞り込まれた方の中に、一定の確率で次回作のシリーズディレクターがいるわけです。

この手法は、『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)のシリーズディレクターを小川監督であると的中させた実績があります。

2023年度タイトル発表時の記事

さて、今回それに該当するのは畑野森生監督と土田豊監督です。

畑野監督は『ドラゴンボール超』や『ワールドトリガー』でシリーズディレクターを務め、プリキュアでも超神回『ハートキャッチプリキュア!』(2010)第33話「キュアムーンライト、ついに復活ですっ!!」をはじめ、『Go!プリンセスプリキュア』(2015)第47話「花のように…! つよくやさしく美しく!」、『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017)第31話「涙はガマン! いちか笑顔の理由!」、『HUGっと!プリキュア』(2018)第35話「命の輝き! さあやはお医者さん?」、『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019)第40話「バレちゃった!? 2年3組の宇宙人☆」、『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)第17話「わたせ最高のバトン! ましろ本気のリレー」、『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)第12話「私はキュアニャミー」など、数々の思い出深い回で演出を担当してこられました。

また土田監督は言うまでもなく『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021)シリーズディレクターをはじめ、『映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!』(2016)や『映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』(2017)など忘れられない劇場長編を手がけておられます。そして土田監督と言えば何と言っても『スマイルプリキュア!』(2012)第13話「修学旅行!みゆき、京都でドン底ハッピー!?」や『魔法つかいプリキュア!』第29話「新たな魔法の物語!主役はモフデレラ!?」などギャグ回に強い定評があります。その一方で、わんだふるぷりきゅあ!』(2024)第19話「キュアリリアン、誕生!」など抒情的な描写も得意とする演出家です。

さて、今回の予想は的中するでしょうか……?

(2025/11/30追記)

タイトル発表の翌日12:00、2025年12月1日放送の『わんぷり』第43話のスタッフ情報が公開されました。同話数は土田監督が絵コンテ・演出を担当しており、スケジュール的にとてもじゃないですが次作のSDとは考えにくい状況です。

文字コード

『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)は、『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)および『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)に続き、「JIS X 0208だけで表記できるプリキュア」、すなわち「Windows XP/MacOS10.4以前の環境で何ら問題なく表記できるプリキュア」です。「♥」や「〜」、「♡」などと違って通常の環境で文字化けの余地はありえず、今回も煩雑な文字コード問題からは無縁でいられそうです。

3年連続でわずか数時間差で公開商標公報から逃げ切れず

今回の『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)も、『ひろがるスカイ!プリキュア』(2023)および『わんだふるぷりきゅあ!』(2024)に続き、またしてもタイトル発表からわずか数時間前の2024年11月29日0:00というタイミングで特許庁から公開商標公報が出されました。しかも今回はタイトル発表も歴代最速の午前5:30でしたが、逃げ切ることはできませんでした。

しかも「出願から8日での公開」は、22年目にして歴代最速となります。そもそも公開日って、コントロール可能なんでしたっけ?

なおprecure.newsにおける公開商標公報への考え方については、こちらの記事をご参照ください。

「シリーズ第22作」

『キミとアイドルプリキュア♪』(2025)で、とうとうプリキュアも第22作。プリキュア20周年のアニバーサリーイヤーも、あっという間に遠い想い出になってしまいました。

あらためて歴代TVシリーズのタイトルを振り返ってみます。

  • 2004『ふたりはプリキュア』
  • 2005『ふたりはプリキュアMaxHeart』
  • 2006『ふたりはプリキュアSplash☆Star』
  • 2007『Yes! プリキュア5』
  • 2008『Yes! プリキュア5GoGo!』
  • 2009『フレッシュプリキュア!』
  • 2010『ハートキャッチプリキュア!』
  • 2011『スイートプリキュア♪』
  • 2012『スマイルプリキュア!』
  • 2013『ドキドキ!プリキュア』
  • 2014『ハピネスチャージプリキュア!』
  • 2015『Go! プリンセスプリキュア』
  • 2016『魔法つかいプリキュア!』
  • 2017『キラキラ☆プリキュアアラモード』
  • 2018『HUGっと!プリキュア』
  • 2019『スター☆トゥインクルプリキュア』
  • 2020『ヒーリングっど♥プリキュア』
  • 2021『トロピカル〜ジュ!プリキュア』
  • 2022『デリシャスパーティ♡プリキュア』
  • 2023『ひろがるスカイ!プリキュア』
  • 2024『わんだふるぷりきゅあ!』
  • 2025『キミとアイドルプリキュア♪』

10周年の『ハピネスチャージプリキュア!』(2014)が、とうとう「前半」になってしまいました。時の流れは、速いものです。

今後の流れ

例年のシリーズ発表スケジュールをおさらいしておきましょう。

タイトル発表

『ひろプリ』『わんぷり』同様のスケジュールでした。どうやら「11/30または直前の平日早朝」が近年の法則のようです。

ビジュアル発表、キャスト・スタッフ発表

『ひろプリ』『わんぷり』の傾向から、いずれも同時に年明け最初の放送直前、2025年1月5日(日) 8:00と予想されますが、タイトル発表時刻に動きがあったことからこちらも読めなくなりつつあります。

アイドルプリキュア

かつて「プリキュア プリティストア」のキャラクターグッズのラインナップとして「アイドルプリキュア」という企画が存在しました。

当時から歴代プリキュアの中には本職アイドルまたはそれに近い芸能活動の実績がある子もいましたが、みんながシリーズを超えてユニットを組みアイドルとして活躍するifの世界の物語は、とても魅力的に映りました。

そして時代は進み、「プリキュアがアイドルをやる」にとどまらず、とうとうアイドルをメインモチーフとするTVシリーズが登場するに至りました。

すでに「アイドルコンテンツ戦国時代」と呼ばれて久しく、現在も多くのタイトル群がアニメやゲームなどメディアミックスで展開されています。

プリキュアは、敢えてそのレッドオーシャンに向かって漕ぎ出す航路を選びました。『わんだふるぷりきゅあ!』で従来の「プリキュア」のイメージを覆し新たなプリキュア像を提示したとはいえ、これはあまりにも青天の霹靂です。

また「アイドル」とは長年にわたって女の子達の憧れであり続けたと同時に、大人達の商業主義の産物としての偶像でもあります。「自分の足で立つ存在」であるプリキュアとは一見相容れない存在のように見えるかも知れません。

しかし代々の世のアイドル達は、それらの事情を乗り越えて、プリキュア達と同じく人々に勇気と希望を与え、自分の足で芸能界というバトルフィールドに強く立ち続けてきました。

プリキュアが提示する、そしてプリキュアにしか描けないアイドル像がどのようなものか。今はただ、楽しみに待つことにします。

コロナ前ぶりに笛を吹きます

さて、私事ですが、12/22(日)阿佐ヶ谷ロフトAさん開催「プリキュアおじさんpresents キラキラおしゃれクリスマス会」に登壇します。

私のコーナーでは、コロナ直前の2019年クリスマス以来に、みんなでソプラノリコーダーを吹く予定です。

プリキュアおじさんの楽しいプリキュア語りに、今やプリキュアシリーズには欠かせないアニメーター・板岡錦さん(本物)による貴重なトークもあります。

真冬にトロピカってみたい方、ソプラノリコーダーを持参してぜひお越しください!

作成者: 祥太

🏠広島出身 中野在住 同人サークル「SHOWTIME」代表 💼職: Tech PMO / DX consultant 💖好: プリキュア 劇伴音楽 フォント 語学 作画 📚学: PMP® AWS ギリシャ語 ラテン語 サンスクリット ⛪カトリック麹町 聖イグナチオ教会信徒 📦️Amazonアソシエイト参加