『名探偵プリキュア!』(以下「たんプリ」)の放送も、残り4分の1になりました。寒くなってくると、今年のプリキュアももうすぐ終わってしまうなと感じますね。

 皆さん。たんプリ、楽しんでいますか? 今作は、ファン同士の意見交換が特に活発なように思います。探偵を題材にした作品だからか、キャラクターの秘密を推理する視聴者もいれば、例年どおりキャラクターへの愛を語る視聴者もいます。その一方で、今作に批判的な意見が出ているのも事実です。よく挙がる批判は、「子どもの方を向いた話づくりをしていない」と「くれあやるるかが主人公の座を実質的に奪っている」の二つです。確かにたんプリは探偵ものなので、視聴者が「考える」場面が多く、幼い子どもには難しく見えるかもしれません。それに、最近はくれあやるるかが中心になる回が多いようにも感じます。

 ――しかし、それらの批判は、果たして事実に基づいたものなのでしょうか? SNSやAIが生活の中で大きなウェイトを占めるようになった今、疑問は一つずつ自分で確かめたいものです。私たち自身の目で見て、感じて、たんプリの「まこと」の一端を掴み取ってみましょう。

 この記事では、全39話のセリフと、セリフの数や難しい言葉の数を手がかりにします。数は、どれも私が放送を見て数えたものです。前半で「子どもの方を向いた話づくりをしていない」を、後半で「くれあやるるかが主人公の座を実質的に奪っている」を取り上げます。作品の出来に点数は付けず、批判が出る理由も確かめながら、一緒に読んでいきましょう。

推理は本当に雑なのか

 子どもの方を向いた話づくりかどうかを、まず推理の作り方から確かめていきましょう。たんプリには、「推理が雑」という声も出ています。そう感じる人がいるのも分かります。手がかりを重ねる前に、答えが出てしまう回が確かにあるからです。第5話では、依頼人が妹の恵子のことで相談に来ます。周りの人から、街で恵子を見たとよく言われるのだそうです。恵子はロンドンに留学しているはずで、街にいたのはニジーが変装した姿でした。みくるが時差の考え方を使って謎を解くより先に、ニジーは「恵子じゃないよ」と自分から正体を明かしています。第25話も、手がかりを重ねる前に答えが出た回だと私は感じました。この回では、香水のユリのかおりをきっかけにくれあの記憶が戻ります。くれあはキュアエクレールとして皆の前に現れ、正体が明かされました。

 それでも、手がかりを推理より先に見せている回は、39話のうち24話あります。第2話は、作家のエリザの大切なペンが消えた回です。事件の途中で、くれあが「通信障害みたいです」と口にします。このころのくれあは、記憶を失ってケーキ屋でアルバイトをしていました。推理の場面で、あんなはこの一言を決め手にしています。電話中だと言った女子高生に、「今 電話を使えるはずがない! 通信障害だから」と返したのです。見ている子どもも、あんなと同じ手がかりを聞いているので、一緒に推理できるでしょう。

 手がかりを先に見せる作り方は、作中であんなとみくるが言う推理の条件にも合っています。二人は第31話で、推理とはどういうものかをセリフではっきり言っているのです。この回のるるかは、敵が頼る予言の書を決め手にして推理します。みくるは、るるかに「重ねた推理じゃない!」と言い返し、あんなも「自分で見つけた 答えじゃない!」と続けました。手がかりを重ねて自分で答えを見つけることが、この作品の言う推理の条件なのでしょう。

 シリーズ構成の村山功さんも、電ファミニコゲーマーのインタビュー(2026年5月25日)でこう語っています。

「作中に出てくる謎は、なるべく3~6歳の子でもついてこられるくらいのレベルにして、でもちゃんと筋道立てて推理で解決していく形にしよう、と。」1

 セリフについても、「幼児に分かる言葉を選んでいるのか」と疑問に思う人がいるようですね。確かに、セリフには幼児に難しい言葉も出てきます。全39話のセリフの中で、幼児には難しいと私が判断した言葉は、92種類ありました。けれど、推理の決め手を説明するセリフに限ると、難しい言葉は少なくなります。全39話のうち推理の場面がある35話で、決め手のセリフに難しい言葉が出てくる回は9話です。

 難しい言葉を使わずに決め手を伝えた回もあります。第5話のみくるは、時差を決め手にして推理しています。みくるは「時差」という言葉を使わず、「4月のロンドンは 夜中の12時だから…」と時刻の数字だけで説明しました。「時差」という言葉は、全39話を通して一度も出てきません。

 放送が進んでも、難しい言葉がセリフに出てくる回数は増えていません。私は、この回数を、同じ言葉の繰り返しも含めて数えました。13話数ずつに分けて比べると、難しい言葉が出てくる回数は、どの区切りでも1話あたり38回から46回でした。ただし、子どもが実際に理解できたかどうかは、セリフの言葉を数えても分かりません。

 推理の見せ方には、一つだけ引っかかる作り方もあります。手がかりを、答えが出た後になってから見せる回があるのです。たとえば、異次元フィールド(敵が展開する別の空間)には、誰が入れるかという決まりがあります。この決まりが初めて語られたのは、キュアエクレールの正体が分かった後の第26話でした。視聴者がこの決まりを使って正体を推理することは、できなかったわけです(後の節で詳しく書きます)。答えの後に手がかりを見せる回が、第4クールで減るかどうかにも注目しています。それでも、第39話までのたんプリは、多くの回で推理より先に手がかりを見せてきました。推理が雑な回は一部だと私は考えます。

コナンとどれみの回は、誰に向けて作られたのか

 「コラボばかりで、子どもの方を向いて作っていない」と言う人も見かけます。『名探偵コナン』との共演も、『おジャ魔女どれみ』との共演も、大きな話題になりましたからね2。ただ、共演回は「ばかり」と言うには少ないでしょう。他の作品との共演回は、39話のうち2話です。第18話のコナンと、第39話のどれみがそれに当たります。第30話にも「コナン」という名前が出てきますが、これはコナン・ドイルのことでした。

 脚本は2話のどちらにも、共演する作品のことを、ほかの登場人物があんなに説明する場面を入れています。あんなは、どちらの作品も知らないのです。第18話では、あんなが「眠りの小五郎」を知りませんでした。みくるはあんなに、「まるで眠っているように推理して どんな難事件でも解決しちゃう」と説明しています。第39話では、あんなが「…で おジャ魔女どれみって?」と聞きます。『どれみ』を知らないのは、みくるも同じでした。代わりに、子どものひなのが「4人の魔女見習いのお話なんだよ」と教えました。『コナン』や『どれみ』を知らない子どもも、あんなと同じ立場で話に入れるでしょう。

 私の見るところ、第18話の脚本は、推理の見せ方も子どもに合わせています。展覧会の準備中に、ガラスの靴の作品が消える事件が起きます。コナンは答えを言わずに、あんなたちに「本物と偽物を 見分けられたんだろう?」と問いかけ、手がかりを示しました。答えには、あんなが自分でたどり着いています。

 第18話には、屈折率という難しい言葉も出てきます。この言葉を推理に使ったのは、コナンです。コナンは「眠りのあんな」の場面で、眠らせたあんなの声を借りて推理し、その中で屈折率を持ち出しました。終盤、その推理をほめられたあんなは、「えっ? 屈折率?」と答えています。「眠りのあんな」は、作り手が共演のために加えた調整の一つでした。荒牧壮也プロデューサーは、クランクイン!のインタビュー後編(2026年6月6日)で、その調整についてこう語っています。

「アイキャッチの変更や“眠りのあんな”、サッカーボールアクションなど、さまざまな調整に踏み込ませていただきました。」3

 私は、屈折率をコナンの賢さを見せるための言葉だと受け取りました。最初の節で数えた92種類には屈折率が、9話には第18話が入っています。それでも、たんプリが子どもに分かる言葉を選んでいるかを確かめるときは、屈折率は除いて考えてよいと思います。

 第39話は、子どものひなのの夢がかなう回でもあります。ひなのは、お母さんと一緒にほうきを作っていました。そして、「わたしも どれみちゃんみたいに ほうきで とんでみたいんだ!」と話しています。終盤、探偵事務所の4人は、一度だけ使える魔法でひなのの夢をかなえます。私は第39話の記事で、この回について次のように書いています。

姿と魔法は借り物――けれど、その心意気と努力は正真正銘の本物の思いです。

 制作側の発言にも、子どもの視聴者を考えた言葉があります。荒牧プロデューサーは、MANTANWEBの対談の前編(2026年10月18日)で、どれみとの共演の始まりを明かしました。「『名探偵プリキュア!』の『舞台が1999年になる』と決まってから、構想していました」とのことです。1999年は、『おジャ魔女どれみ』が日曜の朝に放送されていた年でした。荒牧プロデューサーは、親子についてこう続けています。

「『どれみ』を見ていた親の世代が子どもと当時の話ができますし、今は配信サービスで『どれみ』を見られるので、親子のコミュニケーションのきっかけになるかもしれません。」4

 対談の後編(2026年10月25日)では、『おジャ魔女どれみ』の関弘美プロデューサーが、次のように語っています。

「『名探偵プリキュア!』を見ている子どもたちは、基本的に『どれみ』を見たことがないという前提で作る必要があります。説明過多になるよりも直感的にビシッと伝える方が、子どもの心にしっかり届くはずです。」5

 村山功さんも、電ファミニコゲーマーのインタビューで、子どもと親の両方に触れています。最初の節で引いたとおり、村山さんは作中の謎を「3~6歳の子でもついてこられるくらいのレベル」にしようと話していました。そのうえで、子どもの親については、こう語っています。

「その親御さんなどには「あんなはなぜ過去に来たのか?」とか「キュアアルカナ・シャドウの目的は何か」「キュアエクレールは何者なのか」みたいな謎を楽しんでもらおうと。」1

 村山さんの話では、作り手は本筋の謎を、子どもの親が楽しめるように作っています。私が読んだインタビューの範囲では、大人のファンに向けて謎を作ったという話は出てきません。

 第39話の脚本の中では、あんなもみくるも『どれみ』を知りません。脚本は、関プロデューサーの言う「見たことがないという前提」を、二人にも当てはめたのでしょう。2話のコラボ回は、相手の作品を知らない子どもにも分かるように作られている、と私は考えます。

主人公二人のセリフは、本当に少ないのか

 後半の批判「くれあやるるかが主人公の座を実質的に奪っている」は、セリフの数で確かめていきましょう。表1は、4人のセリフの数を13話数ごとに分けたものです。数え方は、記事の最後の注に書いています。

表1 13話数ごとのセリフの数

第1〜13話第14〜26話第27〜39話
あんな1,152924526
みくる899754358
くれあ0247547
るるか147198533
セリフ全体4,3224,1494,004

 第3クール(第27〜39話)では、4人のうち誰が多く話すかが変わりました。セリフ全体の数は、13話数ごとに見ても4,000台のままです。その中で、あんなとみくるのセリフの数が大きく減り、みくるは4人の中でいちばん少なくなっています。セリフ全体に占めるみくるの割合は、第1クール(第1〜13話)の20.8%から、第3クールの8.9%に下がりました。第3クールのあんなのセリフの数も、第1クールの半分以下です。反対に、くれあとるるかのセリフの数は増えています。表1の数字を見れば、「主人公が脇に回った」と感じる人がいるのも分かります。

 では、全39話を通して見ると、どうでしょうか。

表2 全39話のセリフの数と、全体に占める割合

第1〜39話のセリフの数全体に占める割合
あんな2,60220.9%
みくる2,01116.1%
くれあ7946.4%
るるか8787.0%
セリフ全体12,475100%

 全39話を通すと、4人の中でいちばん多く話しているのはあんなで、次がみくるです。二人を合わせると全体の37%になり、るるかとくれあを合わせた13%を大きく上回ります。

 「主人公が脇に回った」という声は、主に第27話から第39話を見たときの印象から出ているのでしょう。私は、この13話数で回ごとに話の中心になった人物を数えました。くれあが7話、るるかが5話、あんなとみくるが2話ずつです。二人以上が中心になった回は、その全員に1話ずつ数えています。推理の決め手を言った回も、この13話数ではくれあとるるかのほうが多くなります。全39話で見ると、セリフがいちばん多いのはあんなで、2番目はみくるです。二人のセリフが大きく減ったのは、第27話からの13話数だけでした。

第27話からの13話数で、主人公二人の出番はなぜ減ったのか

 私は、あんなとみくるの出番が減った理由を、三つ挙げます。どの理由も、作り手が各回の中心に誰を選び、話をどの順番で進めたかによるものです。

 一つ目の理由は、第2クールの終わりのエクレール編で、くれあが新しく話の中心に入ったことです。エクレール編は、キュアエクレールの正体を当てる第21〜26話を指します。みくるのセリフの数が大きく減ったのは、くれあがキュアエクレールだと明かされた第25話からでした。第21話から第24話では、正体の候補になったエリザ・しるく・れい・くれあが、1話ずつ中心になりました。候補の4人が中心になったこの4話でも、みくるのセリフの数は1話あたり55から78あります。第1クールのみくるの1話あたりの平均と、ほとんど同じです。エクレール編は第26話で終わり、第3クールは、くれあを仲間に迎えたところから始まります。

 エクレール編には、出番とは別に、推理の材料の出し方で気になる所もありました。視聴者が正体を推理するための材料のいくつかが、遅れて出てきたのです。材料が出てくる時期に戸惑った人がいるのも分かります。「エクレール」という言葉が作中に初めて出てくるのは、第21話の冒頭です。視聴者に正体を推理して投票してもらう企画は、それより前の第20話の予告で始まっています。視聴者は、「エクレール」という名前が作中に出る前から、正体の推理を始めることになったわけです。最初の節で書いたとおり、正体が明かされる第25話も、手がかりを重ねる前に答えが出た回だと私は感じました。

 脚本は、異次元フィールドに誰が入れるかという決まりも、キュアエクレールの正体が分かった後で明かしました。第26話で、ニジーがこの決まりを初めて語っています。異次元フィールドに入れる者は、三種類に限られます。妖精、妖精と共にいる者、妖精に招き入れられた者です。第23話では、写真をいただくという予告状がくれあに渡されます。同じ回で、くれあは異次元フィールドに入っています。ニジーが決まりを先に語っていれば、視聴者はくれあが異次元フィールドに入れたことを、正体を当てる手がかりにできたでしょう。

 二つ目の理由は、第3クールの多くの回で、くれあとるるかが中心になったことです。くれあは第26話で仲間に加わり、るるかが敵だった事情は第31話で明かされました。第38話の題は「くれあの答え」で、次回の第40話の題は「るるかの答え」です。作り手は第3クールを、くれあとるるかがそれぞれ自分の答えを出すまでの回として組んだ、と見てよいでしょう。

 三つ目の理由は、作品の本筋の謎が、あんな自身にかかわる謎であることです。この理由は、主にみくるの出番が減ったことに当てはまる、と私は考えます。あんなの謎を進める回では、みくるを中心にした場面が作りにくくなるからです。あんなは、2027年から1999年に来ました。予言の書が告げる出来事も、あんながやってきた1999年のうちに起きるとされています。第7話には、学校の男子生徒が「1999年7の月」に大魔王が来るとうわさをする場面がありました。第32話では、ニジーが新しい予言を読み上げます。そのあとニジーは、予言の文とは別に「すべてがゼロにもどる 2000年が来る前に」と口にしました。予言の謎とあんなは、1999年という年で結びついています。そのため、脚本が予言の謎を進める場面では、みくるよりもあんなのセリフが多くなりやすいのでしょう。

 ここからは私の読みです。脚本は第39話までのあんなを、周りの人物を変えていく主人公として描いています。第1話で、あんなは迷うみくるに「一歩ふみ出せば 答えはついてくる!」と声をかけました。第15話では、まだ敵だったるるかが、あんなに「自分の一歩は 自分で決める!」と言い返しています。そのるるかが、第31話ではくれあに「あなたと一緒に 一歩をふみ出したい!」と伝えます。あんなが口にした「一歩」は、るるかにとって、自分の生き方を決める言葉になったのでしょう。第35話からは、るるかを含めた4人で一緒に変身しています。あんなが変えていくのは周りの人物なので、変わっていくくれあとるるかの出番が増えるのだと思います。

 第3クールの脚本は、主人公のあんなに深い葛藤を持たせていません。代わりに話を進めているのは、周りの人物の葛藤と、作品の世界の謎(予言の書や大王をめぐる謎など)です。周りの人物の葛藤や世界の謎で話を進めるのは、物語の組み立て方としてよくある形の一つですね。村山さんは5月のインタビューで、主人公たちに深い葛藤を持たせない理由を語っています。小さな子どものことを考えたからだそうです。

「主人公たちの葛藤や闇は作劇的にはとてもやりやすいので、大人受けはいいかもしれませんが、小さなお子さんは喜ぶのかと疑問で。」1

 作品の世界の謎は、あんなとみくるの謎より先に、くれあとるるかの謎のほうに答えが出ています。私は、第39話までに世界の謎を40件数えました。そのうち、くれあとるるかにかかわる謎は14件あり、6件にはもう答えが出ています。あんなとみくるにかかわる謎には、まだ一つも答えが出ていません。シリーズ構成は、あんなとみくるの謎を、第4クールに回したと見てよいでしょう。その謎には、二人の呼び名「奇跡のふたり」の謎も含まれています。第27話からの13話数で主人公二人の出番が減ったのは、シリーズ構成がくれあとるるかの答えを先に出す順番で話を組んだからだ、と私は考えます。

出番が減った13話数で、みくるは何をしているのか

 第27話から第39話では、セリフの数と一緒に、みくるが推理や会話で目立つ場面も少なくなりました。第3クールのみくるを寂しく感じた人がいるのも分かります。第3クールでみくるが推理の決め手を言った回は、第29話と第36話だけです。私は、変身後の名乗り「名探偵 キュアミスティック!」以外で、みくるが「名探偵」と言った箇所も数えています。第1クールには、19か所ありました。第3クールでは、一度もありません。あんなとの間でみくるが励ましたり約束したりするセリフも、第1クールの29から、第3クールのわずか1つに減っています。

 それでも、みくるは第3クールも推理に加わっていました。決め手を言った回と、事件の手がかりを口にした回を足すと、13話数のうち11話になります。第3クールのみくるは主に、事件の手がかりを口にする役を受け持っています。

 ここからは私の読みです。みくるのいちばん大きな役割は、名探偵とは何かを、作品の中で最初に言葉にしたことだと私は考えています。第1話のみくるは、あんなに「名探偵は いろいろな事件を 調べて解決し 人々を助ける!」と答えます。ところが同じ第1話で、みくるは敵のニジーから「君は探偵じゃない 探偵気取りの真っ赤な偽物だ」と言われました。みくるは言い返せず、代わりにあんなが「本物だよ!」と返しています。作り手は、みくるの物語をこの場面から始めたのでしょう。

 脚本は「偽物」と言われたみくるに、意図して本物を見分ける役を繰り返し与えている、と私は読んでいます。みくるが本物か偽物かを言い当てた回は、5話あります(第1話・第3話・第11話・第19話・第36話)。第3話では、お店からガラスの亀の置物が消えました。みくるは最後に、店に帰ってきた人を「本物の卓也さんだと思います」と言い当てています。第11話では、宝生美術館の展示品をねらう予告状が届きます。そこへ、展示品はすり替えられた偽物だと書いたカードも出てきました。みくるは、ケースの鍵を開けさせるためのうそだと気づき、「でも 中身は本物!」と見抜いています。第19話は、修学旅行の列車がからくり迷路に変えられた回です。みくるは、切符の切り口に気づきました。この切り口が、本物の切符を見分ける手がかりになったのです。本物を言い当てる回は、あんなやくれあ、るるかにもあります。それでも、脚本が「偽物」と言われたみくるに本物を見分ける回を5話も重ねたことには、意味があると私は思います。

 みくるは、自分の役目を自分で選ぶ人物でもあります。第17話は、あんなが、お母さんに会えないと打ち明けた回です。みくるは、あんなのいない場面で、頼りがいのあるパートナーになると自分で決めます。そのあと、元気の出ないあんなのところへ走っていき、「でも わたし いるからね!」と声をかけています。

 シリーズ構成の村山功さんは、別の世界から誰かがやってくる物語を、これまでにも手がけています。『魔法つかいプリキュア!』(2016) と『スター☆トゥインクルプリキュア』(2019) が、その例に当たります。たんプリの二人も、この2作と同じように、迎える側とやってくる側に分けて読めるでしょう。その読み方では、1999年の町で育っていく王道の主人公は、迎える側のみくるです。そこへ、2027年からあんながやってきます。ところがたんプリは、二人の物語を、来訪者であるあんなの目で描いているようです。そこにたんプリの挑戦があると、私は考えます。第37話の記事では、来訪者としてのあんなを次のように書きました。

1999年の明智あんなは本来影も形もないはずの女の子です。

 みくるが探偵として最初に引き受けた仕事は、あんなを元の時代に帰すことです。第3話で、あんなが「わたしを元の時代に帰して!」と頼むと、みくるの返事は「その依頼 引き受けた!」でした。みくるがこの依頼を果たしたとき、あんなとみくるは別れるはずです。脚本は、みくるの成長を、あんなとの関係の中で描いてきました。みくるは第4クールで、あんなとの別れをどう受け止めるのでしょうか。その場面は、まだ描かれていません。ただ、セリフが減った第27話からの13話数でも、みくるは手がかりを口にし、第36話では本物を言い当てていました。

みくるの謎は、作品の中でどう示されているのか

 「みくるの個人回が無い」「みくるの過去が掘り下げられない」と残念がる声が出るのも分かります。みくるの心情や過去が中心になる回は、39話の中に一つもありませんでした。みくる一人が中心になる回は第8話と第11話の2話で、どちらも事件を推理する回です。

 ただ、脚本は第1話から、みくるの謎の手がかりを描いています。みくるは、普通の中学生が知らないはずのことを知っているのです。第1話で初めてポチタンを見たみくるは、すぐに「妖精だ!」と言い、「キュアット探偵事務所の 名探偵ですね!」と続けました。あんなは、妖精が何かも分かっていません。第2話では、プリキュアがいることは秘密だとみくるが言い、あんなが「秘密なのに よく知ってるね」と聞きます。みくるの返事は「まぁ 気にせずに! きっと力になってくれます!」でした。知っている理由を聞かれると、みくるは話を変えます。

 みくるの過去についての手がかりも、少しずつ出てきます。第2話で、みくるはペンダントをどこで手に入れたのかを、ジェット先輩に聞かれました。みくるは「ずっと前に おばあちゃんにもらったの」と答え、詳しいことは分からないと付け加えています。みくるは、第10話と第23話でもおばあちゃんの思い出を語ります。第23話では、みくるがロンドンにいたことを話しています。第28話では、ロンドンから引っ越してきたポールに予告状が届きます。この回のみくるの一言は、「ロンドン⁉ わたしも この前までいたんですよ」でした。

 おばあちゃんやロンドンの手がかりがあるので、私は第36話のみくるの様子が気になりました。みくるはこの回で、自分がロンドンにいたことを、伝説の名探偵まふるに話していません。まふるは二人の名前を確かめてから、「本当に ペンダントが2つあるとはね…」とつぶやきます。みくるがまふるに向けて言ったセリフは、事務所が襲われた理由を聞く一言だけです。別れの場面では、みくる一人だけが、皆より遅れてその場を離れています。私は映像を見て、まふるのバイクのサイドカーが空いていたことにも気づきました。

 作り手は、みくるの謎を、主にみくるの行動のくせで見せていると私は考えます。たとえば、知っている理由を聞かれると話を変えることや、ロンドンにいたことをまふるに話さないことです。過去を説明しなくても、くせが描かれていれば、視聴者はこの人物には何かあると感じます。私は、世界の謎40件とは別の数え方で、みくるに関する謎を8件数えました。そのうち、登場人物が問いの形で口にした謎は2件だけでした。その二つの謎は、第1話であんなが聞いた名探偵になりたい理由と、第2話でジェット先輩が聞いたペンダントの出どころです。

 みくるのキャラクターアーク(人物が物語の中で変わっていく道筋)で、脚本が描いたのはまだ途中の段階までです。私は人物の変わり方を、三つの段階で見ています。一つ目は、その人物に欠けているもの。二つ目は、それを埋めるための行動。三つ目は、本人が本当の願いに気づくことです。

 三つの段階で見ると、みくるのキャラクターアークは、自分が本物だと認められていないところから始まります。二つ目の行動に当たるのが、名探偵を目指すことです。けれど、名探偵になりたい気持ちの奥にある本当の願いを、みくるはまだ口にしていません。三つ目の段階は、これから描かれるのでしょう。

 ここからは推測です。第1話で、みくるは名探偵を目指す理由を「わたしも助けられたから…」と話しています。みくるを助けた相手は、事務所にいた先輩の名探偵プリキュアでしょう。その先輩は、まふるだったのかもしれません。まふるとロンドンのつながりは、セリフにも出ています。第36話で、るるかはまふるを、名探偵プリキュアのロンドン本部をまとめている人だと紹介しました。みくるが語ったおばあちゃんとロンドンの思い出は、まふるがまとめるロンドン本部と結びつくのでしょうか。みくるの思い出が、まふるのサイドカーの空席とつながるのかも気になります。まふるが、みくるの話すおばあちゃんと同じ人なのかどうかも、今のセリフだけでは決められません。

 みくるの名前にも、手がかりがあるのかもしれません。舞台の町の名は「まことみらい市」です。台湾の放送局・東森幼幼台の公式の番組ページでは、この町が「真心未來」と書かれています。みくるの名前は、同じページで「小林未來」です6。作り手は、明智あんなと小林みくるの名前を、江戸川乱歩の明智小五郎と小林少年から付けたのでしょう。ここから先は、推測をさらに重ねたものです。まことみらい市では、名探偵が「まこと(真実)」を探します。作り手は、町の名にある「みらい(未来)」と同じ意味を、主人公のみくるの名前にも持たせたのではないでしょうか。

 みくるの謎は、第1話からのセリフと行動のくせで少しずつ示されていて、答えはまだ出ていません。

「奇跡のふたり」とは、何が奇跡なのか

 「奇跡のふたり」は、あんなとみくるの変身の場面で出てくる言葉です。その意味が39話たってもはっきりしない、という声が出るのも分かります。私が読んだ範囲では、制作側もインタビューでこの言葉の意味をまだ明かしていません。意味にいちばん近い発言として見つけたのは、荒牧プロデューサーのメッセージにある一文です。メッセージは、放送前の2026年1月11日に、東映アニメーション公式サイトに載りました。

「だけど、二人いれば…そして仲間が隣にいてくれれば、どんな難しい事件でも解決できる!」7

 ここからは私の読みです。「奇跡」は、予言の書に載っていない二人を指す言葉でしょう。敵が頼る予言の書には、『未來自由の書』という名前が付いています。第6話で、ジェット先輩は二人に「運命の…」と言いかけてから、「いや 奇跡の2人だ」と言い直しました。同じ回の終わりには、ウソノワールが「『未來自由の書』にも 書いていない…」とつぶやいています。第13話になると、ウソノワールははっきりと「プリキュア… 書に記されぬ お前たちは異物」と言い切ります。

 敵は、予言どおりに世界を動かそうとしています。その敵から見ると、書に載っていないのはあんなとみくるで、載っているのはくれあです。第30話で、るるかはくれあに「書にあった7の月の大王は エクレール あなた」と告げました。7の月の大王は、予言の書で7の月に現れるとされた者です。

 「奇跡のふたり」という呼び名は、あんな自身が口にした問いへの返事にも使われています。第27話で、シュシュタンは、マコトジュエル(真実の結晶とされる宝石)について説明します。シュシュタンの説明では、プリキュアになるための心のマコトジュエルは、探偵として体験したことや経験したことが結晶になったものです。説明を聞いたあんなは、「じゃあ どうして わたしは 名探偵プリキュアになれたんだろう?」と自分に問いかけます。経験のないまま変身できたあんなに、ジェット先輩は「きっと 奇跡のふたりだからだろ」と一言返しただけでした。第36話の別れ際には、まふるも「奇跡のふたりか…」とつぶやき、ジェット先輩と同じ呼び名で二人を指しました。

 私は、たんプリを次のような物語として読んでいます。二人の主人公は、別々の問題を持っています。最後には、二人がそれぞれ出した答えが合わさって、作品の主題になるのだと思います。あんなに欠けているのは、ひとりぼっちにならない居場所です。第6話では、ひとりぼっちだと打ち明けたあんなの寂しさを、みくるが言葉にして受け止めました。あんなは謎を解き明かすことを目的に動き、周りの人物を変えていきます。みくるに欠けているのは、自分が本物だと認められることです。みくるの場合は、周りの人物よりもみくる自身が変わっていくのでしょう。

 制作側も、二人を別々の型の主人公として考えていたようですね。村山さんは電ファミニコゲーマーのインタビューで、「でも今回は、ふたりとも名探偵にしたかったんです」と話しています1。二人とも名探偵にしたうえで、村山さんは二人の型を分けて説明しました。あんなは一歩踏み出して行ってみる子で、みくるは考えすぎるところがある子です。

 変身の途中のセリフも、あんなとみくるで分かれています。あんなは「見つける!」と言い、みくるは「向き合う!」と言います。ところが、あんなやみくるが変身の場面の外で「向き合う」と言った回は、39話の中に一つもありませんでした。みくるが何と向き合うのかも含めて、「奇跡のふたり」の意味は第4クールで明かされるのではないでしょうか。今のところ「奇跡」は、書に載っていないあんなとみくるを指す言葉だと私は考えます。

あんなとみくるは、もう名探偵と認められたのか

 3クールが過ぎても、あんなとみくるが名探偵として正式に認められる場面は、まだ一度もありません。二人が認められる日を待つ人が、長いと感じるのも分かります。脚本は第1話・第21話・第36話で、二人が名探偵と認められたかどうかを繰り返し取り上げてきました。

 みくるに探偵テストの合格を告げるセリフは、39話のどこにもありません。第1話のみくるは、探偵テストを受けに来た少女でした。みくるはこの回だけで「テスト」を6回口にしています。最後には「テスト合格ですよね!」と自分で言いましたが、合否を答えるセリフは返ってきません。

 作中で探偵テストの合格を告げられた人物は、二人しかいません。一人目はエリザで、第21話で本人が「これでテスト合格!」と言い、ジェット先輩が「そういうことになるな」と認めました。一応の合格です。二人目のるるかは、第29話の過去の場面で合格を告げられています。エリザがテストを受けた第21話で、あんなは、自分がまだテストを受けていないことに気づきました。ジェット先輩の答えは、「なしくずしで入れたんだ」でした。

 第36話で、まふるが二人を受け入れた言葉には、「今回は」という条件が付いていました。まふるは、ジェット先輩が勝手に二人を探偵と認めたことをとがめています。そのうえで口にしたのが、「まぁ 今回はよしとするかね」の一言です。

 第39話の時点で、二人を真の名探偵と認めるセリフは出てきません。第36話のまふるは、スターキラリングブローチについて説明しています。まふるによると、ブローチの中央にはめられた星のリングを着ければ、真の名探偵になれます。リングを着けるには、まずブローチから抜く必要があるのでしょう。まふるはすぐ後に、「ただし ブローチからリングを ぬいた者は誰一人いない」と付け加えました。試したあんなは、「ぬけない…」とつぶやいています。第29話の過去の場面でも、まふるは、リングを抜けば「真の名探偵として みとめられたことになる」と語っていました。

 名探偵の資格を考えるうえで、私は、第27話でシュシュタンが説明した心のマコトジュエルにも注目します。同じ第27話で、くれあとあんなは、自分の心のマコトジュエルに触れるセリフを口にしています。みくる自身の心のマコトジュエルに触れるセリフは、第39話まで一つも出てきませんでした。みくるが名探偵と認められるかどうかは、自分の心にまこと(真実)を見つけられるかどうかにかかっていると思います。

 私は、あんなとみくるの価値を決めるのは二人自身の思いだと考えています。第38話の記事で、私はくれあについてこう書きました。

ただし、仲間の言葉が、くれあの価値を決めたわけではありません。

 第39話の記事でも、どれみの姿を借りた4人について、込めた思いは本物だと書きました。みくるが本物の名探偵かどうかも、私はテストやリングの結果より、みくる自身の思いを見て確かめたいと思います。リングが抜けるかどうかは、あんなとみくるが自分の答えを見つけたあとで分かるのではないでしょうか。ここからは推測ですが、探偵テストの合格をまだ誰もみくるに告げていないことも、第4クールへの伏線かもしれません。

 第39話の時点で、あんなとみくるは、まだ真の名探偵と認められていません。

第4クールで、何が描かれれば答えになるのか

 答えの出ていない謎を数えると、残りの話数で足りるのかと心配になる人もいるでしょう。私が数えた世界の謎40件のうち、16件は第39話の時点で答えが出ていません。私は、残りの12話で見届けたいものを、次の10項目に絞りました。

 あんなの項目は二つです。

  • あんなの変身の理由:第27話であんな自身が口にした問いには、まだジェット先輩の一言しか返っていません。
  • あんなの母と、あんなが2027年へ帰る道:第37話の終わりに、ウソノワールは「光は時をこえし者を あるべき場所へと還す灯火となる」という新しい予言を読み上げました。「時をこえし者」があんなのことなら、あんなが帰る道は予言の中に示されています。

 みくるの項目は三つあります。

  • みくるの心のまこと:みくるが自分の心のマコトジュエルに触れる場面は、まだありません。
  • みくるの変身の理由:探偵テストを受けに来たばかりのみくるが、なぜ変身できたのかも、まだ説明されていません。
  • みくるとまふるのつながり:まふるのサイドカーの空席が何を意味するのかは、まだ分かりません。

 あんなとみくるの二人に共通する項目が、二つあります。

  • 二人の資格:星のリングを、あんなとみくるが自分の手で抜けるかどうかが残っています。
  • ペンダントが2つある理由:第36話でまふるがつぶやいたことで、この問いが初めて作中に出ました。あんなは自分の机の上でペンダントを見つけ、みくるはおばあちゃんからペンダントをもらっています。

 大王の項目は三つあります。

  • 大王が何をする者か:くれあを大王と呼んだのは、るるか、デッチ・アゲイン、ウソノワールです。第38話では、くれあ自身も、心の中の声で自分を大王と呼んでいます。ところが、大王が何をする者なのかを語るセリフは、第39話まで一つもありません。
  • 「真実の石」の意味:第14話でジェット先輩が読んだ予言には、「まことの地で真実の石をだく者 大王となる」とあります。この石をマコトジュエルのことだと読んでいるのは、ウソノワールだけです。
  • 予言の日に大王が現れなかった理由:第27話でウソノワールが、予言の日付が旧暦で数えられている可能性を口にしたきり、答えは出ていません。

 大王の謎について、私は第38話の記事で次のように書いています。

第30話から第31話にかけて、るるかは、瞳に星を持つ者が大王になるという言い伝えと「未來自由の書」の予言を根拠に、くれあのプリキュアの力と探偵の記憶を消そうとしました。それに対して、第31話でキュアアンサーは「自分で見つけた答えじゃない!」と言い返しています。

 ここからは私の読みです。くれあは、書に大王として載っています。第4クールの本筋では、書に載っていないあんなとみくるが、くれあの運命をどう変えるかが描かれるでしょう。

 みくるについては、本物の名探偵なのかをもう一度問われたときに、自分の口で答えるかどうかを見届けたいと思います。私は、人物が変わったかどうかを、終わり近くの場面で確かめることにしています。以前と似た状況で、本人が自分から違う選択をするかどうかを見るのです。みくるの場合、比べる元になるのは、第1話で「偽物」と言われて言葉に詰まった場面です。

 第4クールのあんなについて注目したいのは、母から教わった言葉です。あんながその言葉を、自分で見つけた答えとして言い直せるかどうかを確かめたいと思います。あんなの場合、比べる元になるのは、第37話のウソノワールとの会話です。あんなは、「一歩の勇気」が答えになると母から教わった、と話します。ウソノワールは、「お前が母の教えをしんじるように」「わたしも 『未來自由の書』をしんじる!」と言い返しています。けれど第31話のあんなは、予言を決め手にしたるるかに、みくると一緒に反対していました。そのあんなが、母の教えをどう自分の答えにするのかが、第4クールで問われるのでしょう。

 みくるが自分の口で本物だと答え、あんなが母の言葉を自分の答えにしたとき、二人の答えが合わさって、「奇跡のふたり」の意味も分かるのではないでしょうか。

* * *

 冒頭で、たんプリの「まこと」の一端を掴み取ってみましょうと書きました。全39話のセリフを読み終えた今、そのまことは二つに分けられます。セリフで掴めたまことと、第4クールに残ったまことです。

 セリフで掴めたまことは、数と言葉で確かめられた事実です。手がかりを推理より先に見せている回は、39話のうち24話あります。コラボ回の2話では、どちらも相手の作品を知らないあんなに、ほかの登場人物が説明しています。主人公二人のセリフは、全39話を通すと4人の中で1番目と2番目に多くなります。二人のセリフが大きく減ったのは、第27話から第39話の13話数です。あんなとみくるは第1話から、名探偵とは何か・本物とは何か・推理とは何かを語ってきました。

 第4クールに残ったまことは、二つあります。一つはみくるの心のまことで、もう一つは二人の謎です。第3クールのみくるには、自分の問題を自分から口にする場面がありませんでした。みくるの心のまことが何なのかは、脚本が第4クールで描くのでしょう。「奇跡のふたり」が何を指すのかも、作中の人物はまだ誰も語っていません。ペンダントが2つある理由と、星のリングを二人が抜けるかどうかの答えは、第4クールに持ち越されました。

 第38話で、くれあは「たとえ この力の謎が 謎のままだったとしても」「それが わたしの答え!」と、自分の答えを出しました。『名探偵プリキュア!』が主人公をなおざりにした問題作なのかどうかは、あんなとみくるが自分の答えを出す第4クールの描き方で決まると私は考えます。皆さんは、二人のどんな答えを見たいですか?

 次回は第40話「るるかの答え」、11月8日の放送です。第15話で、自分の一歩は自分で決めると言い返したるるかが、今度はどんな一歩を選ぶのかに注目したいと思います。その後に放送される、あんなとみくるが自分の答えを出す回も、楽しみに待ちましょう。これからもキュアット解決!

注

  • この記事の数字は、全39話の放送で、話の区切りごとに一つのセリフとして数えたものです。CM・提供・次回予告は含めていません。セリフの数は話した量のおおよその目安で、セリフのない場面は数えられません。
  • 第38話の記事から引いた大王の段落は、公開時の「第30話で」を「第30話から第31話にかけて」に直して引きました。瞳の星の言い伝えがセリフに出るのは第31話です。

これからの予定


  1. 「「子どもにも伝わる推理」を、大人も唸る謎解きに仕立てる。シリーズ構成・村山功が語る『名探偵プリキュア!』という挑戦」『電ファミニコゲーマー』2026年5月25日, https://news.denfaminicogamer.jp/interview/260525p(2026年11月2日閲覧)。 ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 「『コナン』×『プリキュア』はなぜ成立したのか 異色コラボ誕生の裏側に迫る【前編】」『クランクイン!』2026年5月28日, https://www.crank-in.net/interview/185440/1;「アニメ『名探偵プリキュア!』第39話で『おジャ魔女どれみ』とのコラボが決定! キュアット探偵事務所の4人が魔女見習いに仮装する設定イラストも解禁」『PASH! PLUS』2026年10月16日, https://www.pashplus.jp/anime/499136/(2026年11月2日閲覧)。 ↩︎

  3. 「『コナン』×『プリキュア』コラボの裏側を、監督&プロデューサーがネタバレ対談【後編】」『クランクイン!』2026年6月6日, https://www.crank-in.net/interview/185450/1(2026年11月2日閲覧)。 ↩︎

  4. 「名探偵プリキュア!×おジャ魔女どれみ:初コラボの裏側 受け継がれるニチアサの伝統 荒牧壮也、関弘美プロデューサーに聞く」『MANTANWEB』2026年10月18日, https://mantan-web.jp/article/20261016dog00m200065000a.html(2026年11月2日閲覧)。 ↩︎

  5. 「名探偵プリキュア!×おジャ魔女どれみ:愛とリスペクトにあふれた初コラボ 演出に込められた“どれみ愛” 荒牧壮也、関弘美プロデューサーに聞く」『MANTANWEB』2026年10月25日, https://mantan-web.jp/article/20261018dog00m200041000a.html(2026年11月2日閲覧)。 ↩︎

  6. 東森幼幼台「名偵探光之美少女」番組ページ, https://yoyotv.ebc.net.tw/Program/Content/317(2026年11月2日閲覧)。 ↩︎

  7. 東映アニメーション「メインキャスト、プロデューサーからメッセージが届いたよ」『名探偵プリキュア!』公式サイト, 2026年1月11日, https://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/news/2026011101.php(2026年11月2日閲覧)。 ↩︎